IE9ピン留め

心象スケッチ -この世界の見え方ー
by sinshow
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風馬旗 ールンター
晴天の朝
五色の旗のはためく
祈りの丘に立つと
眼下には紺青の湖(うみ)が広がった

荒涼とした大地と
祈りの柱
空の青と
湖の青
世界はそこで完結していた

ー 湖の青が
  あんなに深く哀しいのは
  水底に眠る
  大事な秘密を隠しているから ー

見つめていると 
胸の泉が湧き出して
溢れそうになるのが嫌で
小石を拾って
湖へと投げた

投げた石は湖には届かず
胸の泉に沈んでいった

見上げた空に
馬の形の雲一つ
口に銜えた紙切れに
私の罪を隠してる

石を投げても
   投げなくても
ルンタは空を翔けただろうか

チベット・ヤムドゥク湖にて 20120103
*ルンタ(風馬旗)・・・チベットにおけるボン教時代からの伝統の祈祷旗 馬の絵が描かれている




 
# by sinshow | 2012-01-13 05:55 | 旅の記憶 | Trackback | Comments(0)

夜、部屋の灯りを消した後、
カーテンを開けるのは
海がやってくるのを見逃さないため

海は明け方やってくる 
夜と朝の交わる時間帯
窓の向こうに
ゆっくりと海の青が押し寄せてくる
水面の向こうにゆらゆら揺れる太陽を隠して

波の音を待ちわびて
磯の匂いを待ちわびて

冷たいシーツに包まりながら
まんじりともせず海を待っている

見知らぬ大地に打ち上げられた
壊れた小舟のこの部屋が
再び海に帰るのを待っている

# by sinshow | 2008-02-01 23:43 | 日々の記憶 | Trackback | Comments(0)
森音

鳥は
音を探している

森閑の闇の中
時計の秒針の奏でる
微かなリズムを聞き取ろうと
首を傾げて

鳥は
音を探している
真夜中に誰かがつく溜め息が
鳥に
木々を揺らす風を思い出させる

鳥は
音を探している
重いカーテンの隙間を縫って差し込む月光が
鳥に
魔法にかかったような錯覚を持たせる


夜の街では雨が降り出し、路面を濡らす


硝子窓を弾く冷たい音に
乾きを覚えた鳥は
その一滴を受けようと
籠の柵に足を掛ける


雨は止み、路面は再び月光に照らされる


癒えぬ渇きを抱えたままに
鳥は
馴染みの留木に戻り

また針音に耳を澄ます


世界を刻む
絶え間のないリズムに
小さな心臓の音を合わせて

# by sinshow | 2008-02-01 23:37 | 日々の記憶 | Trackback | Comments(0)
音楽の箱

音楽の箱を手に入れた
掌に乗る、 マッチ箱みたいな小さな紙箱
もう色褪せてしまったその箱に描かれてるのは
異国の蛇と林檎の樹

スライドさせて箱を引き出すと
中には小さな神様が一匹

時々は眠そうに
時々は欠伸をして
時々はうつらうつら
時々は私に気づきもしない
時々は本当に寝ていて
時々は起きたところでとても機嫌が悪そう

だから私はいつも慌てて引き出しを戻す

でも本当に必要とするときは
そうっと引き出した箱の中で
神様はピンと背筋を伸ばして立っている
それから エヘンと咳をして
指揮者のように腕をかざして

音楽を始める

神様が腕を振れば そこから音楽が振り注ぐ
音楽でできた金の粉が
キラキラと箱の中から立ち昇り 私を包む

その音楽はいい匂い
その音楽の手触りは懐かしく
その音楽は温もりを持つ
その音楽は素敵な輪を描き
その音楽はとても甘い
その音楽はやがて小さな蛇になり
私の耳から脳内へ
スルスルスルと入り込み
おやすみなさいと囁きかける

それで私は真白い夢の中


# by sinshow | 2008-01-29 12:20 | 日々の記憶 | Trackback | Comments(0)
月夜の小唄
砂漠のように果てしない
海の真中の揺れる小舟で目が覚めた

蒼い闇夜に
星がキラキラ
月ひとつ

櫂(オール)を漕いだところで舟はちっとも進まない

ザワザワするのは波の音
・・・風に流れる砂の音

漕ぐのをやめて私は舟から空を見あげる

海を照らすは白い月
・・・砂漠に映えるは緋色の月

やがて私はまた眠る

そうして
深海然に静まり返った
砂漠の真中の壊れた舟に乗り込んで

波がどこかへ運んでくれるのをじっと待つだけ
# by sinshow | 2008-01-01 16:01 | 日々の記憶 | Trackback | Comments(0)
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